欧州株は企業決算と英国雇用統計を受けてまちまちの展開
火曜日の欧州株式市場は、相次ぐ企業決算の発表、英国の最新雇用統計、そして米国とイランの核協議に関連する地政学的緊張の高まりを背景に、投資家が慎重な姿勢を維持する中で取引された。
ドイツのDAXは序盤で小幅に下落。一方、フランスのCAC 40と英国のFTSE 100は緩やかな上昇となり、相反する経済シグナルの中で市場が方向感を模索している様子がうかがえた。
鉱業セクターの決算が市場の焦点に
欧州の決算シーズンは引き続き市場心理を左右しており、今週は鉱業セクターが最大の材料となっている。特に銅を中心とする産業用金属への需要急増が、大手鉱山会社への注目を高めている。
BHPは、銅需要の急拡大を背景に市場予想を上回る上半期利益を発表した。特筆すべきは、銅が鉄鉱石を抜き、同社最大の収益源となった点である。人工知能関連インフラや電化の進展が、世界のコモディティ市場の構造を変えつつあることを示している。
Antofagastaも2025年の年間利益が過去最高を記録し、投資家を好感させた。銅価格の上昇と副産物収入の増加によりキャッシュフローが改善し、年間売上高は約30%増加した。
今後は、欧州最大級の鉱山企業であるRio Tinto、Glencore、Anglo Americanの決算発表に注目が集まる。多くの産業用金属が数年ぶりの高値圏で推移する中での発表となる。
旅行・エネルギー・インフラ分野の動向
鉱業以外の分野では、業種ごとにまちまちな内容の企業発表が見られた。
InterContinental Hotelsは2025年の調整後利益が16%増加したと発表。ただし、米州地域では業績が弱含みとなり、第4四半期の1室当たり売上高が、米国政府関連および国際旅行需要の減少を背景に低下したと明らかにした。
スペインのガス送電事業者Enagásは、黒字転換を果たし、財務目標も上回った。資産売却、コスト管理、ペルー投資に関連する仲裁での有利な結果が業績回復を支えた。
英国労働市場の軟化で利下げ観測が強まる
英国の経済指標は、労働市場の軟化傾向を示し、金融政策への影響が注目されている。
失業率は12月までの3か月間で5.2%に上昇し、2021年初頭以来の高水準となった。同時に、賞与を除く年間賃金上昇率は4.2%へ鈍化した。
失業率の上昇と賃金圧力の緩和という組み合わせは、イングランド銀行が想定より早期に利下げに踏み切る可能性を高めている。市場では4月よりも3月の利下げ実施を見込む声が強まりつつある。
一方、投資家はこの後発表されるドイツのZEW景況感指数にも注目しており、欧州最大経済圏の信頼感改善が示されると予想されている。
米・イラン核協議を前に原油は軟調
地政学的緊張の再燃により、原油市場も注目を集めた。
米国とイランの核協議再開に伴う供給混乱リスクを見極める動きの中、原油価格は小幅に下落。ブレント原油は下落し、米国の祝日に伴う薄商いの中で、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)はわずかに上昇した。
ジュネーブでの協議は、イランの核開発計画を巡る交渉再開を目指すものだが、不透明感は依然として高い。米軍が有事対応計画を準備しているとの報道がある一方、イランは世界の重要な原油輸送路であるホルムズ海峡で軍事演習を実施している。
市場見通し
欧州市場は、堅調な企業決算とマクロ経済の不透明感という相反する要因の間で揺れ動いている。コモディティ需要の強さが鉱業大手を支えている一方、労働市場の軟化や地政学リスクが全体の見通しに影を落としている。
今後数週間は、追加の決算発表、中央銀行の政策シグナル、そして地政学的動向が市場の方向性を左右する重要な材料となるだろう。