ドル下落、世界通貨が上昇

水曜日のアジア取引で、米ドルは1カ月ぶりの安値まで下落した。一方で、予想外の地政学的展開を受けて、主要通貨は大きく上昇した。米国とイランの間で2週間の一時的な停戦合意が発表され、投資家心理が改善し、「リスクオン」の流れが強まった。

主要通貨は対ドルで上昇。円は0.8%上昇し1ドル=158.36円となり、ユーロは0.7%高の1.1674ドル、英ポンドも0.8%上昇して1.34ドルとなった。オーストラリアドルは1.1%上昇し、0.7054ドルと上昇幅が最も大きかった。

停戦発表で市場心理が急転換

これに先立ち、米国がイランのインフラ攻撃を示唆するなど緊張が高まっていた。しかし、停戦合意の発表により市場の流れは一変し、紛争拡大への懸念が後退した。

特に、世界の石油輸送の要衝であるホルムズ海峡の再開に関する期限直前での合意だったことから、投資家の安心感が急速に広がった。海峡の再開が実現すれば、さらなる市場の安定が期待される。

アナリストは慎重姿勢を維持

リスク資産が上昇する中でも、市場には依然として不透明感が残る。ナショナル・オーストラリア銀行の為替戦略責任者レイ・アトリル氏は、上昇トレンドが続く可能性はあるものの、今後2週間の展開が重要になると指摘した。

また、停戦の持続性や地政学リスクへの懸念から、市場は引き続き変動しやすい状況にあると強調した。

原油下落で焦点は中央銀行へ

供給不安の後退を受け、原油価格は大幅に下落。ブレント原油は13.4%下落し、1バレル=94.68ドルとなったが、依然として紛争前の水準を上回っている。

地政学リスクが一時的に和らぐ中、投資家の関心は中央銀行の金融政策へと移っている。特に米国では、年内の利下げ観測が強まりつつある。

NZドル上昇、政策据え置き受け

ニュージーランドドルは1.5%上昇し、0.5819ドルとなった。ニュージーランド準備銀行が政策金利を2会合連続で2.25%に据え置いたことが背景にある。

同時に、インフレ圧力が高まれば対応する用意があると示し、柔軟な姿勢を維持している。

アジア通貨と仮想通貨も上昇

アジアでは韓国ウォンが1.6%上昇し、1,477.10ウォンとなり、紛争開始以降で最大の上昇を記録した。北朝鮮によるミサイル発射などの緊張にもかかわらず、上昇基調を維持した。

仮想通貨もリスクオンの流れを受けて上昇。ビットコインは2.9%高の71,327.07ドル、イーサリアムは5.6%上昇し2,233.90ドルとなった。

ドル指数は数週間ぶり安値

主要通貨に対するドルの強さを示すドル指数は、3日連続で下落し98.838まで低下。3月中旬以来の低水準となった。

市場は今後も地政学的動向や金融政策の変化に敏感に反応するとみられ、投資家は引き続き最新の動向に注視している。