労働市場の悪化が深刻化、アマゾンが市場への圧力を強める
本稿は、昨日の市場引け後に発表されたアマゾンの決算と、それに続く時間外取引での約10%の下落を受け、主として同社に焦点を当てているが、前日のセッションで展開された、資産クラス全体にわたる顕著なリスクオフの動きを無視することはできない。
売りを主導したのはコモディティであった。貴金属は大幅に下落し、銀は25%安、金は6%下落した。ただし、金については、広範なリスクセンチメントと必ずしも同調せず、独立した資産クラスとして取引されつつある兆しも見られる。ビットコインは一時6万ドル水準に接近した後に反落し、過去1週間で約30%下落している。株式市場も例外ではなく、米国の主要株価指数はいずれも日中安値近辺で取引を終え、約1.2%の下落となった。
米国時間の午前中には、マクロ環境を大きく悪化させる重要な経済指標が発表された。企業が発表した人員削減数を示すチャレンジャー人員削減数は、前回値の3倍超に急増し、世界金融危機時の2009年以来となる10万8,000人超に達した。これに続いて、JOLTS求人件数および新規失業保険申請件数も市場予想を下回る内容となった。これらの指標を総合すると、米国の労働市場が明確に悪化しつつある姿が浮かび上がっている。
テクノロジー株の売りと、再び注目を集めるレイオフの動きは、アマゾンの現状と密接に結び付いている。同社は先月、10月に発表した1万4,000人の削減に加え、さらに1万6,000人の追加削減を発表した。わずか4か月間で、アマゾンは約3万人の人員を削減しており、そのほぼすべてがホワイトカラー職である。市場引け後に発表された決算では、広告事業およびAWSの売上はいずれも予想を上回ったものの、1株当たり利益はコンセンサスを下回った。とりわけ注目されたのは設備投資ガイダンスであり、経営陣は今年の設備投資額を約2,000億ドルと示し、アナリスト予想の約1,460億ドルを大きく上回る内容となった。
これは、ビッグテックのバリュエーションを圧迫してきた繰り返しのテーマを改めて浮き彫りにしている。人工知能の長期的な潜在力は広く認識されているものの、これらの能力を構築・維持するために必要な投資規模が、現行水準で経済的に持続可能なのかについて、投資家の疑問は一段と強まっている。
アマゾン株は、10月下旬の高値からすでに約14%下落し、259ドルから昨日の終値である222.69ドルまで下げている。時間外取引の動きを踏まえると、本日は200ドル近辺での寄り付きが見込まれ、さらに約10%の下落余地を示唆している。直近の終値は、2023年初頭以降続いてきた上昇回帰チャネルの下限に位置している。本日の想定寄り付き水準は、いわば最後の「一線」とも言える位置であり、2023年初頭の約80ドル近辺の安値と、2025年4月の約165ドルの安値を結ぶ長期トレンドライン付近に相当する。
総じて、アマゾンは、労働市場の弱体化、コスト圧力の上昇、そしてAI主導の成長モデルにおける資本集約度への懐疑が高まる中で、投資家の信認が実質的に損なわれつつある状況に直面している。