週間市場見通し | 4月13日~17日

世界の金融市場は、ここ最近で最もボラティリティの高い2週間の一つを乗り越え、4月第3週に突入する。その中心にあったのは、4月8日夜に発表された米国とイランの2週間の停戦という地政学的転換である。戦争によるエネルギーショックとリスク回避が続いた後、株式は上昇し原油は下落、投資家は一時的に安堵した。しかし、その楽観は長くは続かなかった。

イスラマバードで21時間にわたる直接交渉が行われたものの、米国とイランは合意に至らず、ヴァンス副大統領はテヘランが核兵器開発の放棄を約束しなかったと発表した。交渉決裂を受け、トランプ大統領はイランの港に出入りするすべての海上交通を米海軍が封鎖すると発表。市場は、年間で最も重要な決算シーズンの開始と同時に、新たなエスカレーション局面に直面して週を迎える。

注目ポイント

イスラマバード協議の決裂と米国の海上封鎖:
協議は崩壊し、事実上停戦は終了。米国は月曜日からイランの港に対する海上封鎖を実施すると確認した。

2026年第1四半期決算シーズン(大手銀行):
主要銀行の決算発表が週を通して始まる。JPMorganは、信用リスク、消費者の弱さ、手数料収入の動向を見極める上で特に注目される。

3月CPIの影響とFRBの対応:
インフレ指標はFRBの判断を一段と難しくしている。原油価格の再上昇は、2026年後半の利下げ期待をさらに後退させる可能性がある。

ベージュブックとFRB高官の発言:
今週公表されるベージュブックやFRB関係者の発言は、エネルギーショックが経済や政策見通しに与える影響を評価する上で重要となる。

米国:停戦の反転と決算シーズン開始

4月11日までの週は、停戦を背景とした急騰が特徴だった。原油は2020年以来最大の1日下落を記録し、WTIは16.4%、ブレントは13.3%下落。一方、株式市場は上昇し、ダウ平均は1,325ポイントの大幅高となった。しかし停戦違反が報じられると楽観は急速に後退し、週末にかけて慎重な見方が広がった。

インフレ指標も複雑さを増しており、総合CPIは前年比3.3%へ上昇(主にエネルギー主導)。一方でコアインフレの鈍化は、原油が安定すればFRBに一定の様子見余地を与える。決算シーズンが始まる中、市場は不確実性の高まりに直面している。利益成長の期待はあるものの、マクロリスクがセンチメントを支配しており、特にJPMorganの決算は信用環境や経済の健全性を測る指標として注目される。

欧州・英国:ラリーの勢いが鈍化

欧州市場は停戦のニュースに強く反応した。ドイツのDAXは5.06%、フランスのCAC40は4.49%上昇し、いずれも2022年3月以来の最大上昇となった。しかし週末にかけてその勢いは失速。米国とイランの交渉結果を見極める中で市場は様子見姿勢となり、週末の交渉決裂によりリスク評価は再び大きく変化した。

欧州のマクロ環境は依然として脆弱である。ECBは2026年のGDP成長率をわずか0.9%と予測しており、新たなエネルギーショックへの耐性は限定的。また、STOXX600企業の第1四半期利益成長は約4%にとどまる見通しで、株式の相対的魅力を圧迫している。英国でも同様に、サービスインフレの高止まりと供給混乱のリスクが、すでに弱気なインフレ見通しにさらなる下押し圧力をかけている。


アジアと為替動向

停戦による最大の上昇はアジア市場で見られた。韓国のKOSPIは4月8日に6.87%上昇、日本の日経平均も5.39%上昇し、いずれもエネルギー輸入依存度の高い経済がホルムズ海峡の混乱に敏感であることを反映している。しかし、海上封鎖の影響が現実化すれば、これらの上昇は反転するリスクがある。

停戦期間中の米ドルの動きも注目に値する。緊張緩和によりFRBの金融緩和期待が高まり、ドルは週間ベースで下落した。これによりドル建て商品は他通貨に対して割安となった。しかしこの流れは変わる可能性がある。原油ショックが再燃すれば、安全資産としてのドル需要が回復し、アジア通貨や資源輸入国の新興市場に圧力がかかるだろう。

コモディティと金利

4月8日の原油価格の15%超の下落は、「戦争プレミアム」から「停戦ディスカウント」への急転換を示したが、その後も価格は約96ドルと高水準を維持(ピークは118ドル)。海上封鎖の影響が顕在化すれば再上昇の余地がある。ゴールドマン・サックスは、供給混乱が続けばブレント原油は平均100ドル超になると予想している。

金価格は、ドル安とインフレ懸念の後退を背景に一時上昇した後、反落し、週末には小幅高で終了。現在は分岐点にあり、緊張が高まれば安全資産需要に支えられる一方、原油高によるFRBのタカ派姿勢が強まれば下押し圧力となる。

結論

マクロ環境は大きく転換し、停戦による楽観から、再び緊張激化、米国の海上封鎖、そして重要な決算週へと移行した。総合インフレはエネルギー価格上昇を反映しているが、コア指標の鈍化によりFRBには限定的ながら様子見余地が残る。ただし原油が110ドルに向かえば、その余地は失われる可能性が高い。

今週は地政学と外交の動向が市場の方向性を左右し、同時に企業決算が企業の耐久力を試すことになる。原油、株式、金利、ドルの各市場で、ヘッドライン主導の高いボラティリティが続く見込みだ。