USDCHF:スイス中銀、為替介入へ重点シフト

2026年3月19日の金融政策会合において、スイス国立銀行(SNB)は政策金利を0.00%に据え置き、低インフレ環境と依然として強いスイスフランを背景に、超低金利政策を維持しました。また、一定の閾値までの当座預金には政策金利が適用され、それを超える残高には0.25%のディスカウントが適用される現行の金融市場枠組みも継続されることが確認されました。

今回の決定自体は市場予想通りでしたが、理事会のガイダンスは為替市場に焦点を移しました。SNBは、中東における地政学的緊張やスイスフランの急速かつ過度な上昇リスクを背景に、為替介入の意欲が高まっていることを明確に示しました。シュレーゲル総裁は、マイナス金利の再導入には高いハードルがあると強調しており、市場は今後の主要な政策手段として、外貨購入・フラン売却による介入を想定しています。

スイスフランの強さは、構造的および循環的な要因の組み合わせによるものです。スイスはGDP比5%以上の経常黒字を維持しており、フラン建て資産への需要を継続的に生み出しています。また、2026年のインフレ率が約0.1%と極めて低いことも、米国やユーロ圏と比較してフランの価値保存手段としての魅力を高めています。

さらに、中東情勢や貿易政策リスク、世界的なボラティリティの上昇といった不確実性が、安全資産としてのフラン需要を強化しています。スイス国債、株式ETF、プライベートバンキング預金への資金流入も通貨上昇圧力を高めています。

市場の観点から見ると、SNBの介入姿勢の強化は、一方向のフランロングポジションに対する中央銀行リスクを高める要因となります。特に、重要なテクニカル水準や心理的水準に接近した場合、そのリスクは顕在化しやすくなります。政策金利がすでにゼロであり、2026〜2028年のインフレ見通しも約0.5%と低水準であることから、従来の金融政策手段には限界があり、為替介入への依存度が高まっています。

したがって、投資家はスイスフランを構造的に強い低利回りの安全資産として捉えつつ、SNBの発言や行動を注視する必要があります。

テクニカル分析

USD/CHFは1月27日に0.7604の安値を付けた後、上昇に転じました。0.77および0.7830は重要な水準であり、2011年7月〜8月(債務危機時にSNBが為替下限を導入する直前)に遡る歴史的な介入ゾーンと見なされます。


USDCHF(日足、2025年2月〜現在)

ここ数週間、価格はこのレンジ内で推移した後、先週にかけて上抜け、現在は0.7915付近のレジスタンスを試しています。長期的には、2025年4月以降の下降トレンドラインが示す通り、トレンドは依然として弱気ですが、より長期のレジスタンスラインは0.87付近に位置しています。

短期的には、USD/CHFは明確な上昇チャネル内で推移しています。価格は21日および50日移動平均線の上にあり、これらは直近でゴールデンクロスを形成しています。RSIは58.33、MACDもプラス圏で推移しています。

今後は0.7950に向けた上昇余地があり、直近のレジスタンスは0.7915です。これを上抜ければ、0.7985、さらに0.8085への上昇が視野に入ります。このシナリオでは中期的な上昇トレンドの継続も想定されます。

総じて、スイスフランは構造的に強い通貨である一方、通貨高に対する中央銀行の警戒感が強まっているため、SNBの介入リスクを踏まえた慎重なポジショニングが求められます。